腰椎(脊椎)滑り症
激しい運動や加齢によって骨が弱くなったりして、椎弓部分から上下に出た椎間関節と呼ばれる腰椎をつないでいる部分が壊れたら、腰椎が前や後ろにずれやすくなります。「後滑り」と「前滑り」がありますが、後に反る体制より前にかがむ動作の方が多いので多くの場合「前滑り」です。
滑り症状の中では、変性滑り症が実際に手術を必要な患者さんが最も多く、第4腰椎、第5腰椎、第3腰椎の順に多く滑ります。はっきりとした原因は不明でが、骨粗鬆症説、椎間関節の傾きによって滑り症になりやすくなる説、加齢による腰椎の変形説があります。
次に多いのは腰椎分離症が、酷くなって進行すると滑り症になりますので、筋肉や靭帯の幅や強さ、横突起の大きさ等によって滑りやすい人とそうでない人がいます。
また、大変稀ですが、比較的若い時から症状の出る「形成不全滑り症」とは、生まれつき脊椎の形成不全が原因の場合もあります。
どの腰椎滑り症も、腰椎の滑ることによって神経を圧迫し、腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が出ます。間欠破行の症状だけでなく、腰痛・下肢痛に加えしびれ等神経障害が出て、滑ったまま神経を圧迫したままなので、安静時も痛みが続きます。
また、後ろに滑って馬尾神経を圧迫すると、排泄神経も一緒に圧迫するので、膀胱・直腸傷害等を引き起こします。
診断は、滑り具合や狭窄症状も詳しく見るために、X線だけでなくMRI検査、脊髄造影とCT検査も行います。
治療は、コルセットや鎮痛剤の薬剤投与が一般的で、理学療法や整体で上手に滑り症と付き合っている人も多いのです。
生活に支障をきたしたり、膀胱・直腸障害が発症したら手術療法もお勧めです。