坐骨神経痛と肥満の関係
体重が増加するだけで腰にかかる負担も増加します。
四足歩行の哺乳類の場合、頭は背骨と前足で支えていますので、腰にかかる負担は少なく、骨盤も大きいのです。一方、人間は二足歩行になったおかげで骨盤は小さくなりました。そして、頭(約5kg)と両腕(約10kg)の重さを背骨と骨盤によって支えているのです。
しかし、加齢とともに筋肉が弱まり、背骨を支える力が弱まり猫背になりやすくなっただけでなく、さらに日々の生活スタイルからできてしまった癖によって、背骨や骨盤のゆがみが生じ、腰にかかる負担が増していきます。
その結果、一層腰回りの筋肉の緊張状態がひどくなって、こりかたまってしまうのです。骨盤や骨を支える筋肉の力も弱まってきているので、頭や腕の重さが直接腰椎にかかって、その重さに耐えられずに、気づかないうちに、椎間板が擦り減ってしまったり、腰椎にひびが入ったり骨折したりしてしまいます。
その結果、腰椎に並行して走っている神経に椎間板や腰椎が触って痛みやしびれが生じてしまいやすくなります。
この状態が坐骨神経痛です。
肥満状況になるということは、骨の重さに加えて脂肪の重さもそのまま腰椎の負担になってしまうということです。おまけに、肥満状況になるということは、運動不足で筋力も弱っているので、実年齢よりも速く筋力の加齢が進みますので、筋力で支える力が小さいのに、身体の重さが直接骨にかかってしまうわけです。
坐骨神経痛は、このように肥満気味な人ほどかかりやすくなります。肥満予防のために食事療法や有酸素運動は効果的ですが、腰痛予防だけでなく、成人病予防にもなりますので、健康維持のためにも肥満には気をつけましょう。